まちづくり

AREA RELATIONS

恵比寿で30年。“ひらめきが生まれるまち”が描く次の未来へ

恵比寿のまち
これからのはなし

サッポロ不動産開発が語る、恵比寿のまちと、まちづくりの未来像

恵比寿ガーデンプレイスの開業から30年。サッポロ不動産開発は、このまちと共に歩み、今、「ひらめきが生まれるまち」を目指し、恵比寿の未来をデザインする「恵比寿まちづくり戦略」を策定した。その背景には何があるのか。企画部担当の須貝氏と、地域との絆を紡ぐエリアリレーション部長の望月氏に、恵比寿というまちの価値、そしてまちづくりへの想いを聞いた。

恵比寿は「働く」だけ、「遊ぶ」だけ、「住む」だけじゃない――入居者の声が教えてくれたこと

――まず、「ひらめきが生まれるまち」というビジョンに至った経緯を教えてください

須貝:私たちは入居企業の経営者に直接インタビューを重ねていました。「なぜ恵比寿ガーデンプレイスを選んだのか」「恵比寿というまちのどこに魅力を感じているのか」を知りたかったんです。

すると、多くの方が「恵比寿は働くだけじゃない」と口を揃えた。「わざわざ足を運ぶ理由があるまち」、「仕事以外の目的も持って出勤できる」、「働く以外の愉しみがあるので、従業員がいきいきと出社してくれる」と。映画館や東京都写真美術館などの文化拠点に加え、生活を彩るショップや上質なレストランや飲食店が集い、アートやカルチャー、とっておきのグルメを身近に感じられる環境があること。それだけではなく、都心とは思えないほど広い空を見上げたり、緑を感じられる公園やゆとりを感じられたり。そうした刺激とゆとりが共存する環境が、ビジネスの役に立ったり、新しいアイデアのひらめきに繋がると言っていただいたんです。

恵比寿事業本部 企画部 須貝 譲

――働く場所、遊ぶ場所、住む場所が近接している価値ですね

須貝 :そうです。渋谷や六本木、大手町や丸の内も魅力的なまちですが、恵比寿は「働く」と「遊ぶ」と「住む」がバランスよく混在し、互いに影響しあっている。「働く」、「遊ぶ」、「住む」の1つ1つが魅力的なことはもちろんなんですが、それらが独立することなく混ざり合っているという点がポイントだと感じました。働く人による活気が遊ぶ人の刺激になったり、企業の成長が住む人の暮らしの豊かさや誇りになったり。遊びに来る人のとっておきの愉しみは、住んでいる人の日常のちょっとした刺激でもあるんです。そして、住む人にとっての落ち着いた上質な環境は、働く人のウェルビーイングにも良い影響を与える。このような刺激とゆとりの共存によって生まれる新たな価値を「ひらめき」と呼ぶことにしました。それが、私たちが恵比寿のまちと共に提供できる独自の価値だと気づきました。

恵比寿事業本部 エリアリレーション部長
望月 佐和子

望月 :私たちエリアリレーション部は、自治体や行政、企業や団体、個人といった多種多様なまちのステークホルダーの方々との関係性を構築し、協働によって事業に貢献することがミッションです。まちの声を聞き、一緒に価値を作っていく。今回の「ひらめき」というビジョンも、そうした対話の積み重ねから生まれたものです。

恵比寿文化祭が育んだ、まちとの絆

――エリアリレーション部として、まちとの向き合いで大切にしていることは?

望月 :まちに寄り添うこと、ですね。独りよがりではなく、地域の方々の想いと合っていないと、一緒には何もできない。まちの方々の生の声を大切にしながら、寄り添って一緒に考えていくスタンスが重要だと思っています。

――その象徴的な取組みが、恵比寿文化祭ですね

望月: はい。2011年に始まって、今年で15年目です。最初は「恵比寿ガーデンプレイスでチアリーディングを披露できたらいいな」というお子さんの声にお応えしたのがきっかけでした。それが今では、恵比寿に拠点のあるスバルさんやアトレさん、東急不動産さんなど多くの企業と連携し、ビール坂祭りとの同日開催により恵比寿ビール坂商店会さんと連携するまでに成長しました。この15年で恵比寿のまちの魅力を作ってくださっている仲間と信頼関係を築くことができたと感じています。

須貝 :私は当社で働いてもうすぐ4年になりますが、恵比寿のまちの皆様に支えられていると感じることがたくさんあります。これからは、この素敵な仲間と共に、恵比寿を「ひらめきが生まれるまち」にしていきたいと考えています。

スタートアップと地域をつなぐ――新しい共創の形

――「ひらめき」を実装する具体的な施策について教えてください

須貝: さまざまな調査によって、今、恵比寿にはスタートアップ企業が集まっていることがわかりました。恵比寿で起業する会社もあれば、一度まちの外に出たとしても、恵比寿に特段の思い入れがあり、また恵比寿に戻ってくる企業もたくさんあります。私たちには、そういったこれから世の中に羽ばたいていく企業を応援したいという気持ちがあります。この恵比寿の多様な人が混在する魅力が企業の事業成長を後押しし、企業とまちが共に成長する姿を思い描いています。スタートアップエコシステム形成に向けた新拠点「EBISU THE SPOTLIGHT」では、まさに、企業やスタートアップ、恵比寿のまちの人々など様々な人が“たまり場”として利用してくれることを願っています。普段の生活では決して混じり合うことのない人と人とが、この“たまり場”で混じり合い、新しい関係と視点を持つ。今までにはない光景が見られるのではないかと感じています。

――地域の方々とスタートアップが接点を持つ、ということでしょうか?

望月 :実は、恵比寿のまちの方々には、新しいことへの包容力のようなものがあると感じています。昔から住まわれているご高齢の方も、先進的な技術の実証実験や新たな施策にも興味を持ってくださって、積極的に関わってくださる。若いスタートアップの方たちが、地域の方々から新しい視点を得る。そういう予想外の出会いから生まれる発想こそが、「ひらめき」なんだと思います。

日常のすぐそばに、日常とは異なるとっておきの愉しみがある、―――恵比寿の魅力を伝える

――そのほかの取組みについても教えてください

須貝: はい。恵比寿は「まち中を歩く愉しみがある」と言ってくださる方が多いです。路地裏のオシャレなレストラン、昔ながらの定食屋、季節を感じるカフェ、洗練されたブティックやセレクトショップ、アートギャラリーや雑貨店――歩くだけで新しい発見があるまちです。このような、日常のすぐそばにあるちょっとした刺激が恵比寿にはあふれており、我々はその魅力を発信・強化していきたいと考えています。2025年には、恵比寿ならではの料理を楽しめるイベントを開催しました。

――どんなイベントですか?

須貝:恵比寿ガーデンプレイスが丸ごと映画館になる野外映画イベント「PICNIC CINEMA」と同時開催となった、「FOODIES’ PICNIC」というイベントです。「PICNIC CINEMA」自体は、国内外の名作や話題作を約300㎡の人工芝を敷いた広場で、大型スクリーンを使って上映する野外映画イベントですが、2025年はこれまでの映画の上映だけではなく、恵比寿ならではの食やカルチャーを楽しめる仕掛けをたくさん用意しました。それが、「FOODIES’ PICNIC」です。「恵比寿逸品グランプリ※1」受賞店舗に週替わりで出店してもらい、恵比寿の名店の味を気軽に楽しめるイベントになりました。また、恵比寿ガーデンプレイス内「YEBISU BREWERY TOKYO」とコラボレーションし、映画をテーマにした会場でしか飲めない数量限定ビ ールも発売されました。2025年は新たな仕掛けをしましたが、来年以降はもっともっとまちの皆さんと連携し、まち全体で盛り上げていきたいです

※1「ヱビスビール」の豊かな味わいにぴったりの料理を恵比寿で活躍する料理人が考案し「ペアリング」するフードラリーイベントhttps://ebisu-gp.com/

――恵比寿ならではのイベントですね。イベント以外の取組みもありますか?

望月 :「ひらめき」には、緑の環境整備も欠かせません。恵比寿全体の緑を増やし、緑に触れる機会を増やしていく。この2つによって、リラックスや知的生産性の向上ができると考えています。渋谷区から指定管理を受託している恵比寿南一公園や恵比寿ガーデンプレイスにある緑のオアシスであるサッポロ広場も、それを実現する取組みですね。昨年、サッポロ広場は一部のエリアをリニューアルして以来、美観を整備すると共にイベントやワークショップなどを通じて緑に触れる機会をご提案してきました。来年は、恵比寿南一公園のリニューアルによりさらに緑が充実するので、ご期待いただきたいです。

次の30年を、一緒に

――最後に、これから恵比寿に関わる方々へメッセージをお願いします

須貝 :今回、恵比寿のまちづくり戦略を策定したことは、私たちにとって大きな節目だと思っています。これまでの30年間、恵比寿ガーデンプレイスを中心に、地域との良好な関係づくりや、社会貢献を目的とした活動を積み重ねてきました。それはもちろん大切な基盤ですが、これからの時代に必要なのは、さらに一歩踏み込んだ“共創”です。私たちは、まちの皆さんと一緒に価値をつくり、その価値を起点に、恵比寿に人を呼び込むことに注力していきます。単なる施設運営ではなく、まち全体の魅力を高め、人を惹きつける賑わいを創出する。カルチャーや食、緑、そしてスタートアップとの新しい接点を生み出し、恵比寿を「ひらめきが生まれるまち」へと進化させたいと考えています。

望月 :この挑戦は、当社だけでは実現できません。だからこそ、これまで以上にまちに出て、対話を通じてまちを理解し、仲間を増やし、共創によってまちの魅力を上げる。この好循環を回していきたいと考えています。地域や企業・団体の皆様、そして恵比寿で新しい価値を生み出すことに賛同いただける皆様、恵比寿のまちに夢を描き、この先の30年を一緒に築いていけたらと思っておりますので、よろしくお願い致します!

恵比寿まちづくり戦略.pdf

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