恵比寿スクエアのバリューアップから見えてきた、働く場としてのまち「恵比寿」のこれから
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恵比寿というまちは、働く、遊ぶ、住む。その境界が心地よく溶け合うまちである。上質な飲食店やショップが点在する一方で、少し路地に入れば落ち着いた空気が流れる。働くことと楽しむこと、刺激と心地よさが自然に混ざり合うこのまちで、サッポロ不動産開発が手掛けたオフィスビル「恵比寿スクエア」のバリューアップ工事が完了した。
今回のテーマは、「まちに開かれたオフィス」。
単なる建物の改修ではなく、働く人とまちとの新しい関係性を模索し、恵比寿らしい価値を空間として表現するプロジェクトだった。建物外観・エントランスの刷新、植栽やアートの導入等を通じて、働く人とまちとの接点を生み出した(https://www.sapporo-re.jp/news-release/2026/03115827/)。
今回は、プロジェクトを推進したサッポロ不動産開発の松本直也氏、技術管理を担当した野々瀬洋平氏、そして設計を担当した株式会社ベネフィットライン設計部の森健太郎氏に、プロジェクトの舞台裏と、恵比寿というまちの未来について話を聞いた。

「まちに開かれたオフィス」をどうつくるのか
——まず、皆さんの役割と、今回のプロジェクトについて教えてください。
松本: 私はサッポロ不動産開発で恵比寿スクエアのバリューアッププロジェクトを担当しました。私たちは恵比寿まちづくり戦略の中で、「ひらめきが生まれるまち」というビジョンを掲げています(https://www.sapporo-re.jp/news-release/2025/12185494/)。恵比寿は、働く・遊ぶ・住むといった多様な要素が近い距離で共存し、刺激とゆとりが自然に行き交うまちです。そうした異なる要素や人が交わることで、新しい発想や気づきが生まれやすい環境が育まれていると感じています。働き方や暮らし方が変化するなかで、こうした恵比寿らしさはこれからますます価値を持っていくと考えています。
今回のバリューアップも、単なる建物の改修ではありません。そのビジョンを空間としてどう表現するかという挑戦でした。恵比寿スクエアが、働く場所であると同時に、新しい発見や出会い、ひらめきのきっかけになる場所になってほしいという思いです。
野々瀬: 私は技術管理の立場で関わりました。コンセプトを実現するために、工事内容・仕様・コスト・品質等の観点から全体の調整を行う役割を担いました。
森: ベネフィットラインでは、オフィスやクリニック、ウェディング施設など幅広い空間づくりを手掛けています。私は設計部で基本設計からデザイン提案まで担当しています。
今回の案件は、サッポロ不動産開発さんから直接お声がけをいただき企画~設計・施工まで担当させていただきました。ただ、最初に話を聞いたときは正直、「難しいプロジェクトだな」というのが第一印象でした。
——なぜそう思ったのでしょうか。
森: 商業施設であれば、まちとの関係性をテーマにした設計は比較的イメージしやすいんです。でもオフィスビルは、目的を持った人が訪れる場所です。その中で「まちに開かれた空間」をどう実現するのか、最初は答えが見えていませんでした。
——そこから解像度が上がったきっかけは?
森: 松本さんが共有してくださったキックオフ資料です。コンセプトやターゲット像まで整理されていて、「この考え方を空間に落とし込めばいいんだ」とイメージが沸いてきました。
松本: 私たちとしても、単なる改修工事にはしたくありませんでした。設計チームにも早い段階からビジョンを共有し、「どんな空間をつくるか」だけでなく、「その空間がまちにどんな価値を生むのか」を一緒に考えてもらいたかったんです。
「まちに開かれる」を、設計でどう形にしたのか
——今回のコンセプトを、設計としてどのように具体化したのでしょうか。
松本: オフィスビルは本来、入居企業のための空間です。ただ私たちは、その役割だけではないと思っていました。 誰でも自由に利用できる商業施設とは違いますが、恵比寿で働く人や遊ぶ人、住む人が、それぞれの形で接点を持てる場所にはなれる。外構や植栽、アートをきっかけに「少し寄り道してみよう」と思ってもらえたら、その体験が新しい発見やひらめきにつながるかもしれません。
——「ひらめき」と、今回の空間づくりはどのようにつながっているのでしょうか。
松本:私たちが考える「ひらめき」は、特別な場所で突然生まれるものではありません。まちを歩く中で目に入った風景や、何気ない会話、少し気分が切り替わるような体験の積み重ねから生まれることもあると思っています。今回のバリューアップでは、働く人とまちの接点を増やし、そうした小さな発見や気づきが生まれやすい環境を作りたいと考えました。
——その考えをどう設計に落とし込んでいったのでしょう。
森: 大きく二つあります。
一つ目は、「見た目の開放性」です。以前の恵比寿スクエアは、道路に面して車寄せや植栽帯があった影響もあり、外からエントランスの様子が見えにくい状態でした。そこで今回のバリューアップでは、通りから建物の表情が見えるよう空間構成を見直しました。

——その変化にはどんな意味がありますか。
森: 働く人たちの姿や建物の様子が見えるだけでも、まちの風景になります。閉じたビルではなく、人の存在を感じられる場所にしたかったんです。
もう一つは、「内から外への開放性」です。働く人がエントランスを通って外へ出る瞬間に、気持ちが切り替わるような体験をつくりたいと思いました。まちに開くことは、まちから見えることだけではなく、働く人が外の世界とつながることでもあると思っています。
——空間を象徴するブルーについても教えてください。
森: 恵比寿スクエアは周囲をビルに囲まれていて、自然光が入りにくい環境です。そこでホワイトとブルーを基調とし、明るさや抜け感を生み出したいと考えました。
また、このビルにはスタートアップや成長企業が多く入居しています。格式や重厚感よりも、挑戦や成長を感じられる空間の方が、このビルらしいと思ったんです。


理想と制約のせめぎ合い──三者で守り抜いたこと
——プロジェクトで苦労した点はありましたか。
森: バリューアッププロジェクトは理想と制約の連続でした。改修工事は着工後に初めて見える課題も多く、コストとの調整も常に必要でした。振り返ると、松本さんと私がアクセル担当で、野々瀬さんがブレーキ担当でした(笑)。
松本: 本当にそうだと思います。プロジェクトを推進したい強い思いや、理想が先行する場面もあったので、野々瀬さんの存在は大きかったですね。
野々瀬:プロジェクトを成功させたい気持ちはもちろん一緒でした。コストをはじめとする制約の中でどうやって成果・品質を最大化し、当社のビジョンを空間として表現するのか。やみくもに無理だと突っぱねるのではなく、「本当に必要なことは何か」を技術の面からも常に考えていました。限られた条件の中、プロジェクトの核だけは絶対に守り抜く。本質を大事にすることを自分自身でも意識し、結果として周りへの働きかけにも繋がったのだと思います。
バリューアップがまちに与える変化──広がる交流と新たな価値
——完成後、どんな変化を感じていますか。
森: 通りを歩いている人が思わず振り返る場面を見ると嬉しいですね。実際にテナントの方から、「この空間の要素を自社オフィスにも取り入れたい」という相談もいただきました。
野々瀬: 以前は重厚で、エントランスも歩いていると少し緊張感のある空間でしたが、今は爽やかで明るい印象を入居者や来訪者からもより感じられるようになったと思います。空間が持つ力を改めて感じました。
松本: エントランスや外構の印象が変わったことで、働く人のモチベーションにも良い影響があったのではないかと思っています。出社したときに少し気持ちが前向きになる。そういう小さな積み重ねは意外と大きいんですよね。
また、ランチタイムにはエントランス前でキッチンカーによる日替わりのテイクアウトランチの販売を開始したことにより、入居者だけでなく周辺のワーカーや地域の方との接点も生まれています。ビルがまちの中で少しずつ開かれていく変化を感じています。
——その変化は、まちにどう影響していくと思いますか。
松本: 直接測れるものではありませんが、この場所で働く人のモチベーションが上がり、企業が成長し、新しいサービスや価値が生まれる。その積み重ねが、恵比寿というまちの魅力につながっていくと思っています。
恵比寿で育った企業が増え、「あの会社は恵比寿から生まれた」と言われるようになる。そんな循環の一部になれたらうれしいですね。
「恵比寿がいい」と選ばれるまちへ
——最後に、恵比寿スクエアのこれから、そして恵比寿というまちの未来について聞かせてください。
野々瀬: 今回のプロジェクトを通じて、空間は利用する人だけでなく、周囲のまちにも影響を与えることを実感しました。これからも長く愛される場所になってほしいですね。
森: 建築やデザインは、完成した瞬間がゴールではありません。人が使い、まちの風景になり、その中で少しずつ価値が育っていくものだと思っています。恵比寿スクエアが、人と人、人とまちを自然につなぐ場所になってくれたら、設計者としてこれ以上うれしいことはありません。
松本: 私たちはよく、「恵比寿でいい」ではなく「恵比寿がいい」と思っていただけるまちを目指したいと話しています。
働く場所を探している企業も、出店先を探している事業者も、住む場所を探している人も、自分の意思で恵比寿を選びたくなる。そうして人が集まり、新しい挑戦が生まれ、その魅力がさらに人を呼び込む。そんな循環をつくっていきたいんです。
恵比寿スクエアの完成もゴールではなく、そのための一歩だと考えています。
※この記事は、AIインタビュー記事作成支援サービス「Sonata」のサポートを受けて制作されました。