まちづくり

AREA RELATIONS

施設を超え、まちそのものがエコシステムになる。恵比寿から描くスタートアップと地域の共創と成長

恵比寿のまち
これからのはなし

スタートアップ支援の「場」は、この10年でずいぶん整ってきた。コワーキングスペース、インキュベーション施設、アクセラレータープログラム——施設も、資金も、仕組みも、かつてより確実に充実している。それでも、「エコシステムが機能している」と言い切れる場所は、まだ多くない。

恵比寿でいま、その問いに正面から向き合う試みが動き始めている。サッポロ不動産開発が取り組むスタートアップエコシステムの構築のパートナーとして加わったのが、コワーキング・インキュベーション施設をはじめとする全国70弱の多様な拠点で、コミュニティマネージャーを通じて人と人、人と機会を結ぶコミュニティづくりを展開するATOMica(アトミカ:https://atomica.co.jp/)だ。

今回は、サッポロ不動産開発の下村高司氏とATOMica 代表取締役Co-CEO南原一輝氏、執行役員CPO安里喬泰郎氏の対談から、恵比寿というまちが持つ固有の可能性と、「施設に留まらないエコシステム」の思想を紐解いていく。

左から「ATOMica」安里氏、南原氏、「サッポロ不動産開発」下村

エコシステムは広がった。その先に必要なものは何か

まずは、アトミカさんの取り組みについて教えてください。

南原:現在、全国で70弱ほどの拠点を運営しています。コワーキングスペースやインキュベーション施設といった形で、コミュニティを形成しながら、人と人を結ぶプラットフォームをつくってきました。拠点は、北は東北から南は沖縄まで、本当にさまざまです。

全国で関わる中で、スタートアップを取り巻く環境はどのように見えていますか。

南原:この数年で、環境自体はかなり整ってきたと思います。都内では分野ごとのインキュベーションが進み、地域でも自治体や大学と連携した取り組みが増えてきました。日本各地でスタートアップを支援する土壌は広がっています。一方で、足りないものもまだ多いと感じています。特に大きいのは「人」の部分です。施設や資金、支援制度は増えていますが、人と人が日常的につながり、信頼関係を築いていく機会はまだ十分とは言えない。イベントで一度会っただけでは、「一緒にやろう」とはなかなかならない。だからこそ、間に入って関係性をつくる存在が重要だと感じています。

「恵比寿はおしゃれなまち」からの変化

――今回、恵比寿というまちに関わっていただいて、印象の変化はありましたか。

南原:正直に言うと、最初は「おしゃれなまち」というイメージでした。働く場所というよりは、少人数で高収益なビジネスをやっている方々が、良い環境で暮らしているような。いわゆるスタートアップのまちという印象はあまりなかったですね。むしろ、成熟した大人のまちというイメージでした。

――そこから、どんな変化があったのでしょうか。

安里:実際に関わる中で、「挑戦者が集まり得る場所なんだ」というのは発見でした。もともと完成されたイメージが強いまちだったのですが、一方で、外から来た取り組みや新しい動きに対しても、比較的受け入れられやすい空気があると感じています。日常の中で無理なく関係性が生まれていくような土壌は、恵比寿の特徴のひとつかもしれません。

都市で成立する“距離の近さ”

――恵比寿ならではだと感じた点はどこにありますか。

安里:一番特徴的なのは、人の距離の近さです。まちの事業者、店舗、そして来ているお客さんまで含めて、関係性がすごく近い。都市部以外の地域だとよくある光景でも、都内では珍しいと思います。デベロッパーとまちの人、そしてその先の来街者まで、ここまで連続的につながっている場所はあまりない。この距離感は、スタートアップにとって大きな意味を持つと思っています。

――距離感が持つ意味、というのは具体的にどんなことをイメージされていますか。

南原:スタートアップのプロダクトは、まだ世の中にないものが多い。だからこそ、実証の機会が必要になります。でも都市部では、そもそも受け入れてもらえないケースが多いんです。その点、恵比寿は違う。関係性が近いからこそ、「ちょっと試してみたら」と言える余地がある。新しいものをまちの中で試せる環境があるのは、かなり大きな強みだと思います。

「施設の中」に閉じないという発想

――サッポロ不動産開発としては、スタートアップ支援をどのように位置づけていますか。

下村:スタートアップ支援は、単独の目的というよりも、まちづくりを進める中で自然と重心が置かれてきた領域だと感じています。これからの恵比寿を考えたときに、欠かせない取り組みの一つになっています。大事にしているのは、スタートアップとVC(ベンチャーキャピタル)だけで完結しないこと。おなじみのプレーヤーだけに留まらず、まちの人やお店なども含めて、一緒に関わる状態をつくることです。

施設の中だけで関係性が完結してしまうと、どうしても広がりが生まれません。そうではなく、日常の延長線上で交わっていくことが必要だと考えています。

南原:実際、多くの施設は「中で完結している」印象がありますよね。そこに行けば出会いはあるけど、その外には広がらない。一方で、恵比寿はそもそもまちの中で関係性ができている。だから、施設を起点にしつつも、自然と外に広がっていく可能性があると感じています。

下村:昨年12月にオープンし運用を開始した「EBISU THE SPOTLIGHT(通称:エビスポ(EBISU THE SPOTLIGHT ))」も、それらの可能性を捉えた取り組みのひとつです。当社が掲げている恵比寿のまちの未来像、「ひらめきが生まれるまち(https://www.sapporo-re.jp/news-release/2025/12185494/)」を、実現・実装していくための起点になる場所だと考えています。現在は週1回のペースで自社開催しているイベント時のみ開店していますが、将来的には、特別なイベントがあるときだけ人が集まる場、ではなく、日常の延長の中で自然と人がたまり・交わり・新たな関係性が生まれ深まっていく場として機能することを目指しています。そうした偶発的な出会いや共感こそが、新たな挑戦やひらめきを後押しし、まちに広がり循環していく。このきっかけを生み出し続けることが、私たちの大切な役割のひとつだと思っています。

キーワードは「ウェットな関係性」

――お二人の話の中で、人と人との関係性の話が繰り返し出てきています。

南原:僕らは「ソーシャルコワーキング®︎」という言い方をしているのですが、これは場所ではなく、社会単位で共創を生むという考え方です。恵比寿では、それが施設の中ではなく、まち全体で起き得ると思っています。例えば、常連のお店でスタートアップのサービスを試してもらい、それが評判になって広がっていく。あるいは、まちの人の困りごとから新しいサービスが生まれる。そういうことが自然に起こる距離感がある。

下村:キーワードにすると、「ウェットな関係性」だと思います。
合理的なつながりだけでなく、人としての関係性があるからこそ、新しいことを受け入れられる。イベントがあるから行くのではなく、「あの人がいるから行く」という状態。そこまでいけると、本当にまちに根づいたエコシステムになると思っています。

恵比寿から見える、新しいエコシステムの形

――最後に、これからの可能性について教えてください。

南原:まだこれが正解というものはないと思っていますし手探りで見つけていくものだとは思いますが、少なくとも恵比寿らしさを活かした「場所に閉じないエコシステム」は実現できると感じています。恵比寿は、その実験ができる数少ない場所のひとつかもしれません。

下村:既存の言葉では表現しきれないものをつくりたい、という思いがあります。インキュベーションでも、単なるコワーキングでもない。まちの中に自然に溶け込んでいく関係性の中から、新しい価値が生まれていくような形です。

安里:ふらっと立ち寄ったお店で自然に会話が生まれるような、そういう距離感の中で、スタートアップの挑戦が広がっていく状態があるといいと思っています。特別な場や機会だけではなく、まちの中での何気ない接点の中で少しずつ受け入れられていく。そうした広がり方ができると、恵比寿ならではの良さがより活きてくるのではないでしょうか。

※この記事は、AIインタビュー記事作成支援サービス「Sonata」のサポートを受けて制作されました。

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